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2004年06月08日

6月3〜9日 北海道滞在(中)

 札幌ではアイヌの彫刻家砂澤ビッキの奥様凉子さんと10年ぶりくらいで再会。待ちあわせた札幌文学館では北海道の写真家掛川源一郎氏の個展とトークショーが。厳しい北海道の歴史に生きてきた人々を強く、優しい、チャーミングな眼差しで撮った膨大で濃密な写真群。凉子さんのおかげで期せずいい写真展を見ることが出来た。91歳になられる掛川氏ご本人も会場にいらっしゃった。トークショー終了後成り行きで打ち上げの末席に参加させていただくことに。なんとゲストの写真家吉田ルイ子さんのとなりでジンギスカンを食べることに。その席で掛川さんの写真集の編纂に関わった批評家の大日向欣一さん、酒井広司さん、季刊「フォトン」の小室治夫さんらともお会いできる。北海道での写真のこと文化のことについて真剣に話されていることを聴いていて思った。文化にも写真にもやっぱり全体の中心というのはなくて、札幌とかメキシコとかたくさんのlocalの集積で世界は成っている。例えば清里K'MOPAや札幌みたいな各地の写真文化の集積地は、遠く離れている僕にとって、時々自分の方向を確認する灯台みたいな大切なものだ。今回の掛川展で受けた感慨も僕にとって自分の方向なりポジションを振り返るきっかけになる。そこにはやっぱり優秀な目をもった灯台守がいて、質を積み重ねてゆく議論がある。そうゆう方たちに敬意を表したい。「our faceプロジェクト」もそうゆう、文化と文化を繋ぐようなことになればと思う。文化に優劣をつけることが表現として成立してしまうような状況はやっぱり困る。
 移動の合間は加藤展洋著「日本の無思想」と村上春樹著「ねじまき鳥クロニクル」と「ダンスダンスダンス」。それと今回からノートパソコンを持ち歩くことにした。空いた時間に資料やらSPA!の原稿の準備やら。よく分からないけど、もうなんでも来いという感じ。

投稿者 Ken Kitano : 2004年06月08日 01:41