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2004年09月28日

9月27日 強い雨と大渋滞

 週末、旧知のライターさんから急な電話で「明日の夜撮影できます?」どんな状況でも仕事の依頼は大歓迎なのですぐにok。時々声をかけてくれるTさんに感謝。しかし相当に進行が押しているようで、新雑誌の新連載なのに編集との打ち合わせなしでいきなり本番。それもラフなし、現場で編集の立ち会いなし。今までも何度かあったけど、こうゆうのは正直とっても不安。仕事の方向と、せめて始まりと終わりをきちっとしていないと、こちらもどうゆうふうにやってよいやら。写真は現場限りなので当たり前だけど上がった写真がすべて。カメラマンにイメージが事前に伝わっていなかったり、打ち合わせにカメラマンが参加していなくて、結果的に「違う」イメージになっても後々知らない人はカメラマンの責任に思いかねないし。結構そうゆことってある。基本的に「いい写真」を撮ることなのだが・・。ま、なんでも相手の顔が見えると安心ということ。
 今日は打ち合わせ、納品、機材レンタル、夕方撮影とパチンコ玉のように都内をグルグル。一日中強い雨がふり、渋滞も激しかった。渋滞で体がしびれながら、夕方吉祥寺で久住昌之さんの撮影。撮影の後、海外のアニメーション、マンガ市場の話がとても興味深かった。帰って奥さんと娘が寝た後、Oさんのご主人にダビングして頂いた「伊集院光日曜日の秘密基地」のミスターチルドレンがゲストの回を聞く。

投稿者 Ken Kitano : 09:44

2004年09月26日

9月25日   

 小雨のなか、朝早く娘とうちの奥さんは埼玉のとある幼稚園+福祉施設に土でつくるお面のワークショップをしに出かけた。午前中自宅で原稿書き。いくらやっても進まない。「書けない海」でもがいている状態。取材した方々のジャンルが幅広いのと取材から時間が経っているとで、思うようにイメージや書くことの圧力が高まらない。でも資料を読むのは楽しい。今読んでいる本は日本の漁業再生の本と会津のお頭屋制度の本とキャバクラの経営の本。もう、何が何だかである。息抜きに岡本太郎の「芸術と青春」を読む。でもジャンルの違うものでも読んでいるでいるうちに、いくつか共通することや、直面している問題に同じ構造が見えてきたりするから、こうしていっぺんにいろいろな本を吸収するのも面白い体験だと最近気がついた。
 ただ書く作業に集中するのが難しい。本業の撮影の仕事も新しい媒体や、初めての方との仕事がいくつか始るので緊張感が高まっている。秋は家のことや子供の行事ごとも多く、結構タイトなのだ。
 と、ぐちを日記に書く暇があったら早く仕事か家事をしろという感じだ。

投稿者 Ken Kitano : 18:17

2004年09月23日

9月21日 二日酔い

 昨夜は雑誌の撮影のロケハンで神保町の居酒屋Hへ。入る前に編集Tさんとロケハンなのであまり飲まないようにしましょう、と硬く誓ったのに閉店まで普通にたくさん飲んでしまう。その後もう一軒飲んでしまいフラフラ気味で帰宅。Hは開業して60年、ウワサで聞いていた名店だけあって常連のお客さんの話しが面白すぎで、つい無粋な「ながっちり」になってしまった。
 今日は午前中に雑誌の撮影が一本あり、重たい体を引きずるようにして撮影した。今週は一滴も飲まないようにしようと誓う。
 友人の佐藤信太郎の作品「非常階段東京」が今出ているスタジオボイスにでているので立ち読みする。ビルの非常階段から見渡した東京のランドスケープのシリーズ。シンプルで力強くて切なくていいのだ。来週からの展覧会も楽しみだ。佐藤信太郎の展覧会は9月28日から10月3日まで渋谷ギャラリー・ル・デコ6F(03-5485-5188)11時から19時月曜休み。

投稿者 Ken Kitano : 16:37

2004年09月17日

9月16日 西国観音霊場

 週刊朝日の連載企画「週末札所巡り」の続編で関西へ。(現在は坂東34カ所を掲載しているハズ)15日と16日で一番熊野の青岸渡寺から大阪施福寺、奈良長谷寺、岡寺を駆け足で廻る。熊野は何度も行っているけど本当に遠い。遠いから聖地なんだけど。早くて7時間。たぶん所用時間では東京から本州で一番遠いのでは。それにしても石段が多い。二日間で2000段以上登ったので足がパンパンだ。
 久しぶりに走ったが河内から山を越え奈良盆地へのランドスケープの展開はダイナミックだ。かつて天皇は大阪から葛城山を越え水の豊富な奈良盆地にくだり都を作ったわけだけど。山を越え広々と開ける奈良盆地に降りてゆく感じはいつもスケールを感じる。
 

投稿者 Ken Kitano : 16:01

2004年09月16日

9月14日 吉祥寺

 夕方から雑誌の打ち合わせで吉祥寺へ。漫画家の久住昌之さん、編集Tさん、もうひとりTさん。久住さんには4,5年前インディーズの雑誌「BUENA!」で写真マンガの企画をご一緒にやらせていただいて以来。あの時は完全にハーフトーンのないハイコントラストのモノクロ写真で作画した「ハイコンマンガ」シリーズを作ったのだ。恐ろしくくだらない企画の上に予算がなくご迷惑をおかけしたので、いつかちゃんとした仕事でご一緒したいとず〜っと思っていた。だから今回ご一緒できるのは嬉しいかぎり。久住さんはいろんな角度からいつも話題が展開して面白くてとても刺激になる。終電まで楽しいお話を聞く。

投稿者 Ken Kitano : 15:46

2004年09月13日

9月13日 メイルウイッツ

 うちの奥さんが買ってきた雑誌リラックスを読んでいたら写真家のピーター・ジョエル・メイルウイッツのインタビューが載っていた。珍しいことだ。以前日本に来た時のことを語っていた。かつて西海岸のニューカラーの写真家の一人として強い印象を受けたひとり。実際より遅れて彼らの見たのは高校生くらいの時かなあ。懐かしいなあ。パルコギャラリーで見たサンディースコグランド(ニューカラーじゃないけど)はよかったなあ。写真を見て感動した・・。メイルウイッツの名作「a summer`s day」は今も時々写真集を開くけど、しかりそこに人間がいて、切なくて、スケールがあって、何かが希薄で、しみじみいいんだよね。
 今晩は今年初さんま。うまかった。

投稿者 Ken Kitano : 21:56

9月12日 原稿書き

昼間、雑誌の撮影。さる美しい俳優さんの撮影。帰って原稿書き。あまり進まない。
そうゆう時はなぜか本を読んでしまう。玄田有史著「仕事の中の曖昧な不安」(中央公論新社)を読んで目から鱗。資料として買ったんだけど一気に読んでしまった。著者は経済学者で雇用の現状について書かれた本。失業率が5%を越えて久しいが、よく話題に登る中高年の失業率は以前からあまり上がっていないという。(45〜54歳男性の失業率は3.6%、2001年9月)、失業率が急激に増えているのは15〜24歳を中心にした30代前半までの若年層(15〜24歳男性の失業率は12.4%、2001年9月)だそうだ。(多いのは中学卒、高校卒の人。日本の失業者の4人に3人が中、高卒者)人員削減のかわりに新規募集を辞める企業が増えたことによる。その結果、雇用機会の少ない若年者は自分の就きたい業種に就けず、就職しても早く転職する傾向が強まっている。新人が入って来ない職場では若年者の労働時間が過酷に増える傾向があるという。自分のスキルアップや結婚どころではない若年者の悲惨な現状が、数字をあげて分かりやすく書かれており、身の回りの20代30代の現状と重なる。また、パラサイトシングルと呼ばれる人を含む「非労働者」の中にも就職活動をしたがまったく就職できず活動を中断したり止めてしまった人が多く含まれているという。つまり中高年者が雇用を維持する代償として若年者の雇用と社会参加の機会を奪っている社会構造があるという。
 一般に雇用問題では「パラサイト」とか「就業意識が薄い」とか「長続きしない」とか若年者に対する風当たりが強いけど、実際は年金と同じで若年者に負担が集中しているのだ。ということきちんという言う専門家があまりいないのは発言権を持った人たちが既得権を持った世代だからか。

 後半、著者が頼まれて高校で講演する。私語の止まない高校生に向かって「夢をもつことよりも、もっと大事なのは”自分で自分のボスになる”という意志をはっきり持つことです」と語る一方「大学の先生っていくらもらえるの?」という質問に、躊躇し胸を張って答えられなかったことを悔やむ。
 普段メディアに出てくる自信たっぷりで声が大きくて「わかりやすい」ことを言うタイプの”専門家”にない説得力があって面白かった。
 

投稿者 Ken Kitano : 14:47

2004年09月09日

9月9日 シャーロックホームズ「水曜サロン」

 夕方まで雑務と原稿書き。夜、横浜の今井さんのところへ。今井さんは自宅の一部を開放してフリースクール(フリースペースか)シャーロックホームズを開いていて、今日は月に一度の水曜サロン。もともとは7年前にカウンセラーや教師らの勉強会でスタートしたこのサロンだが、今は会社員、映像作家、経営者、カウンセラー、その他様々な職種の人びとや学生、取りたてて何もやっていない人が入り混じって、美味しいものを食べながら飲んで話す時間と場所。今井さんは何度もお会いしているがちゃんとこれまでのシャーロックホームズの歴史などを聞いたことがなかったので今日は半分取材でじっくり聞く。お会いするたびに思うのだけど、今井さんほど大きくて柔軟な好奇心と行動力を持った人をしらない。いつもおだやかに風が吹いている感じのする人。突風が吹くこともないが、空気が淀むこともない。今井さんの話で面白かったのは「わたしはこうあらねばならないということを持ちたくないのよね」という言葉。いかにも今井さんらしいし、同感。結局、7年間やってきて大きい組織にもしないしNPO法人にもしないで来た。シャーロックホームズはたくさんの人にとっての(今井さんにとっても)居場所であり続けている。今日も美味しいものがたくさん並んでいたけれど車なので飲めず。
シャーロクホームズのhp
http://homepage2.nifty.com/sharlock-holmes/
 帰りにTBSラジオ「アクセス」を聞きながら帰る。ライブドアの堀江社長がゲストに出ていた。声に力が感じない人だけど(特にラジオだから)、そうゆう人の言葉をじっくり聞いたほうがいい。是非社長には審球団を設立してほしい。そもそも身売りしたい球団があってそれを買いたい会社があるのにどうして球団数やリーグが減るのか理解できない。来年以降も面白いパリーグをみたい。

投稿者 Ken Kitano : 14:27

2004年09月08日

9月7日 台風

 昼間原稿書き。午後打ち合わせと資料集めに浜松町〜霞が関〜有楽町。台風でめまぐるしく天気が変わる。車を運転していても横なぐり雨でワイパーを最大にしたかと思うと陽が射してサングラスをかけたり忙しい。台風は日本海側に移動した模様。先週お世話になった富山の方達のところは大丈夫だろうか。取材に行った対馬の大町小学校や礼文島のことも気になる。娘は保育園で「大お化け屋敷大会」で盛り上がったようだ。家の灯を暗くして、風船お化け、ゆらゆらお化け、コウモリ、お墓などを再演してくれる。

投稿者 Ken Kitano : 14:09

2004年09月07日

9月6日 まず本棚

 昼間撮影。午後、our face原稿書きの予定を立てよう、いやその前に資料を整理しよう、ということで今までの取材の資料や本をあちこちから集めたら、あっとゆうまに床が見えなくなったので、無印良品へ本棚を買いに。組み立てて取材ごとに分けたりフセン張ったりしていたら深夜に。ファイルが足りないので仕方なくドンキホーテに行く。ドンキホーテは便利だけど買い物が終わった後すご〜く疲れる。「ドンキ!」って短くして言う言い方もそれ自体疲労感を誘うので使わないことにしている。むしろ文字で書くなら「鈍器」の方が受ける疲労感に相応しい。サスペンス映画の凶器みたいで。どうでもいいけど。結局「伊集院光深夜の馬鹿力」(TBSラジオ)聞き終わってようやく整理出来る。その結果分かったことはまだ大幅に資料が足りていないこと。ネットで書店関係を検索しまくって寝る。

投稿者 Ken Kitano : 03:35

2004年09月05日

9月5日 おわら風の盆

 富山に行ってきた。
新しく出す予定の本の「企画出しの為のロケハン」という限りなくプライベート旅行に近い(ギャラと経費も含めて)仕事のためだ。有名な八尾の「おわら風の盆」は一応押さえておいたほうがいいだろうということで、編集Iさんと1日の昼からと3日の深夜に八尾に行った。下調べの段階からあらゆる資料と行った人の言葉に「人が多い」と書いてあったので覚悟は出来ていて驚かなかったが、ここまで人が多いとわざわざ出かけて行って見るべきものではないなというのがひとつの結論。もちろん祭自体はそれなりにいいのだけれど、大勢で押しかけるようなタイプの祭ではそもそもないのだ。
 多くの祭が神道の「神事」の形をとっているが風の盆はそういった、例えば神輿の「渡御と還御」、「山から里」、「海から山」といった神事にみられる祭自体に方向性やプロセスを持たない。ひとけの少ない涼しくなった秋の夕暮れから深夜にかけて、各町の若い人がそろいの浴衣を着て、胡弓(これの音色がいい)と三味線と唄に合わせて、突発的にというか示し合わせて、踊りが輪になったり、流したり。通りがかりにその風情を楽しむ。というのが元々らしい。今は流しをやるとき、その前も後ろも巨大な人垣が取り囲み、その人垣ごと移動する有り様。人垣の外からはどうやら中心部で踊りをやっているらしいというのが焚かれるフラッシュで伺い知れる程度。時々人垣の周囲では観客同士が口論になっていたりする。話題になるとつい行きたくなるものだが、今のままでは一度行った人はもう一度は行かないと思う。
 面白かったのはこの祭には毎年有名人がたくさん観に来るらしいが、今回「高島礼子さんが来ているらしいわよ」と方々で聞いた。何となく「いかにも来そうな感じがする女優さん」だけど、ウワサが独り歩きをしているだけで実際は来てなかったりして。
 富山は父の故郷なので小さいときから何度か来ている。しかし日本中旅行しているのにプライベートの旅行では富山はじめ北陸にはほとんど来たことがない。無意識のうちに遠ざけていたような気がする。今回その土地と初めて仕事として向き合ってみて、子供の時に感じた富山の人や風景に対する印象の質感を少しづつ思い出した。徐々に自分の中に出来てしまった「富山感」とその背景を少し理解できた気がする。それはいずれまた。
 富山といえば海の魚の種類が多くてどれも美味しい。(特にイカとぶり、それに海老!)今回地元の方に連れていっていただいた店で、びっくりするほどたくさん天然鮎を出すお店があって絶句するほど美味しかった。鮎の刺し身、天ぷら、塩焼き(一人7,8匹出てくる)等。富山は川魚もイケルことを初めて知った。
 立山信仰についても見てきた。かつて大変に広がりをもった仏教世界が展開し広く人びとを惹きつけていた。明治の廃仏棄釈というのは本当にもったいないことをしたものだ、と今回も思った。

投稿者 Ken Kitano : 18:09