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2005年10月21日

10月20日 梨と天丼

晴れてよかった。何しろ車とヘリコプターの撮影である。先週から雨が続いていたので半分あきらめていたけど、今日は久々に、それも見事に晴れた。6時に起きて松戸へ行く。梨畑の風景に唐突に現れたアミューズメントパークにはスーパーカーとヘリコプター、高級モーターボートなどが起かれていた。よくわからないが乗り物好きのオーんーらしい。ヘリのオーナーに「操縦席も撮らせてください」と「よかったら少し飛ぼうか?」。生まれて初めてヘリコプターーに乗る。松戸から飛び立ち5分ほどで東京タワーや六本木上空へ。秋晴れの日差しを受けて、眼下の東京が白く光る。気持ちいいことこの上ない。青砥あたり、浅草橋、葛西、両国、大手町・・。町の風情や人々の生活感も感じてしまう。住吉あたりの上空で唐突に「もつ焼き食べたい」などと思ってしまったりする。
 撮影のあと、ロードサイドの梨直売所で梨を買う。今年最後であと2,3日で店じまいとのこと。5百円の梨を一袋かったらふたつおまけしてくれた。梨園の向かい側にあったメニューが天丼のみの食堂に入ってライターのMさんと天丼を食べた。梨園のおばさんに「味付けが濃いよ」といわれたとおり、濃い目のタレのアナゴ天麩羅とシジミの味噌汁がうまかった。
 帰宅したら夕方になっていた。さっきはヘリで都心まで一瞬だったのに、地面を走ってくるとやっぱり遠い。夕方からtbsラジオ「談志の遺言」などを聞きながら暗室作業。日曜に撮ったキモノのプリント。自分でプリントするとカラーフィルムの癖がよく分かる。今回のフィルムは黄色や赤の再現にかなり癖がある。これからはいろいろなフィルムを試してみよう。
 
 竹橋の国立近代美術館から会報「現代の眼」が送られてきた。来週25日から開催の「ドイツ写真の現代」に合わせて発行された今号では、特集でアウグストザンダーにちなんだテキストが寄せられている。恐れ多いことにそのなかに私の拙文「our faceプロジェクト・・見知らぬ誰かに会う肖像写真の旅」も掲載さている。ザンダーについては以前も書いたが、当初ザンダーに絡めて自分の仕事を・・と思っていたのだが(ご依頼頂いた学芸員の増田さんからはザンダーにこだわらずご自分の仕事のことを書いてくださいとおっしゃっていただいたのですが、それにしても)、そのアプローチは私の豆粒ほどのキャパシティーを越えてしまい、一切ザンダーに着地しないテキストになってしまった。今回執筆にあたって改めてザンダーの仕事を見せていただいたのだが、あの時代に(急速に閉塞してゆくヨーロッパドイツにおいて)、ザンダーが「あらゆる人」が「あるがまま」に様々な階層の序列やわけ隔てなく「存在していること」をあるがままに全力で写真にとらえようと(それはとりもなおさず「世界そのもの」を「残す」作業だったのか?)したことは、真に壮大で偉大な取り組みであったことに気づかされる。(気づくとなおさら自分の仕事に絡められない。おこがましくて。)一方で、自分の方法はつくづく「東洋的」だという気もした。ご笑読ください。

投稿者 Ken Kitano : 2005年10月21日 09:14