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2005年10月31日

10月31日 熊野から帰る

 昨夜遅くレンタカーと飛行機とバスと車を乗り継いで熊野から帰ってきた。朝の3時半くらいからずっと乗り物に乗っていたといっていいくらい、乗り物漬けだったので、体が液体みたいになってしまた。毎度のことながら熊野は遠い。おそらく離島を除いては、東京から一番遠い場所のではないか。だからこそ信仰の地であり続けて、底知れぬ奥行きを感じさせるおだろう。ただ乗換えと飛行機は機材とフィルムを抱えたカメラマンにとってはつらい。荷物の量や検査に年々神経を使わざるをえない。次回は列車を使おう。 
 ぱっとしない天気のだったので、あちこちを激しくロケハンした。また今回は県や町の観光課その他の方にもお会いする機会があった。熊野はかつて「蟻の熊野詣で」と言われたほど、皇族を始め、貴賎を問わず人々が巡礼に訪れた信仰の地。熊野は、都からは南の方角。それはそのまま普陀落浄土の方角でもあった。都から果てしないほどの道のりを歩いて一時、深い深い原始の神聖な森の中に身を置く熊野詣で。今まではどうしても熊野へ「行く」ということでしかとらえられなかったけれど、今回役所や地元の方と少しだけど話す機会があって、都から「来る」、東京から「来る」という、熊野の方からの視点の話し方に初めて接した気がした。そのことが妙に新鮮だった。
 「果無し山脈」とはよく言ったもので、熊野を車で走っていて、時々見晴らしのいいところから見渡すと、あきれるほど深い山並みが、本当に果てしなく続いている風景に出会う。一方でその視界の入っている山なみの大半が、植林された針葉樹というのも、考えてみるとすごいはなしだ。全部植えたんだから。輸入材に国産の杉が太刀打ちできなくなって久しい。落葉樹の原生林は那智大社の周辺など一部にしか残っていない。徐々に広葉樹を植え替える運動もあるようだが、とんでもないお金と時間がかかるだろう。
 

投稿者 Ken Kitano : 2005年10月31日 08:35