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2006年09月30日

9月30日  「寝ずの番」「かもめ食堂」

 朝昨日焼いたプリントの仕上げをして11時に恵比寿へ持っていく。その他のカットの決定がでるのが早くても今日の夕方以降になるとのこと。月曜朝入稿なので今日中に返事をもらわないと間に合わないが、土壇場でいろいろと内容の変更が出て来たらしい。待つしかない。天気もいまいちで撮影もできない。駅までダッシュで池袋新文芸座へ。12時30分の「かもめ食堂」上映開始早々に到着。劇場に入ると結構埋まっている。最前列の端に着席。スクリーンをななめ下から見上げるような位置。片桐はいりの顔がうんと幅広で見えました。「かもめ食堂」の舞台はフィンランドの光がきれいだった。小林聡美もよかった。「寝ずの番」は中井貴一が芸人ぽいですよと袴田さんから聞いていたけど、本当にそうだった。笹野高史もよかった。原作はそれぞれ群ようこと中島らもだった。大作ではないタイプのいい映画を2本見て(1300円!)外に出てもまだ明るい。新文芸座は初めて行ったけどきれいだし見やすかった。次回(10/7から)は「ダ・ヴィンチ・コード」と「嫌われ松子の一生」という組み合わせだそうだ。
 気持ちよく帰宅して。デザイナーから写真セレクトの電話がないのでプリントは明日にしてビールを飲むことにする。明日は運動会だし飲もうか、などと理由になっていないことを言って娘とビールを買いに近所の酒屋(先日生サーバーを借りようとした店ではない店)に行った。缶ビールを買ったら、「あのう、お魚食べます?」と聞かれ「あ、はい、普通に」と答えると「これ近所の人に頂いたんですけどね」といって鰹を1尾頂いた。釣り行った方のおすそわけらしい。ビールを買って鰹をもらうなんて珍しい。刺身とたたきにして食べた。たたきににんにくをたっぷりかけて食べたらおいしかった。

投稿者 Ken Kitano : 05:24

9月28日 暗室

仕事の写真を焼く。仕事の写真をモノクロで焼くのは本当に久しぶり。なんだか新鮮で集中できた。6切で20カット程焼く。でもまだ使う写真が確定でないのでデザイナーと連絡を取りながら作業する。結局確定するのが明日以降ということで、ほぼ使うだろうというカットと、明日スキャンしないと間に合わない、という頁だけ焼いて今日のところは終わりにする。夜12時頃帰ってビール飲んで吉村昭の「東京の戦争」読んで寝る。

投稿者 Ken Kitano : 05:08

2006年09月27日

9月26日  そうして、だめになっていく

映画「六ヶ所村ラプソディー」の上映会の打ち上げをやろうということになった。子供連れもいるし焚き火もできるから、と我が家でやることになった。それでビールを注文しに駅前の酒屋に行った。数年前に泡盛の会をやった時に生ビールサーバーをレンタルしたらとてもよかったので今回も頼もうと思った。自宅で開くこの手の宴会の準備というのは何となく心弾むものがある。特に秋という季節がよい。

酒屋に行ったら以前の太ったおじさんではなく痩せた若い人が出て来た。息子なのかチェーン店らしいので担当が変わったのかわからないが前と違う人だった。生ビールサーバーは保証金やガス代などビール代以外にもいろいろかかるがトータルで瓶よりお得だしうまい。値段を聞くと「なに代はいくら」と教えてくれるがトータルいくら、と計算してくれない。頭の中で暗算するがもどかしい。電卓をはじいていくらになります!と言ってくれればいいのに。前回頼んだ時に、事前に予約すると府中のサントリーの工場からできたてを専用容器で直送してくれるのがあって、「それもうまいんですよ〜」とおじさんがニコニコしながら言っていたのを思い出して、そのことを聞くと、「そんなのない、ない」と取りつく島もない。なくなったなら仕方ないし、知らなかったらそういえばいい。
「生ビールは何日前にお願いすればいいですか?」と聞いた。すると「サーバーは取り寄せないと行けないから前もっていってもらわないと・・」だと。それを承知でこちらから「何日前にお願いすれば」と聞いているのである。接客としては最悪である。「配達してもらえますよね?」と聞くと客の顔を覚えていないのを詫びるでもなく「場所はどこですか?」だ。そういえば「ビール一本でも無料配達します」という張り紙が以前は貼ってあったのだが、なくなっていた。いや〜な気分で店を出た。

絵に描いたような悪い兆候である。食べ物やなら確実に客足が遠のくだろう。酒屋は相手の作ったものを口に入れるわけではないから安さと立地だけで来る客がいる。結局別な酒屋に瓶ビールを頼むことにした。「昔は感じよかったのに・・」というパターンだ。やっぱり人なんだよ。寂しいね。

投稿者 Ken Kitano : 06:51

9月25日  大伸ばしってどうよ!?

先週カラーサイエンスラボで近代美術館「写真の現在」展に一点だけ出す予定の大伸ばしプリントを焼いてもらった。
そうしたら、地図の等高線みたいにハーフトーンに諧調のスジが出た。大きいニュートンリングみたいだった。小さいプリントでもよく見るとあったのだが気がつかないレベルだった。やはり大きくすると目立つ。僕の写真は超ハーフトーンだからこうゆうのが特に目立つ絵柄。プリンターの石島さんによるとデジタルのドットの中はもともと255諧調しかないから、大きいプリントで緩いトーンだと境が出てしまうとのこと。またデータを何度も作り直していると諧調が寄ってしまうらしい。結局石島さんに目立つ線をぼかしてもらうなど手を入れて仕上げた。

デジタル出力がよくなったので今大型プリントが大流行だけど、デジタルの大伸ばしのひとつの限界というと大げさだけど、ある特性を感じた。最近はネガで撮ってスキャンして出力はデジタルでというやり方も多い。元々銀塩をやっていらした石島さんによると、銀塩プリントでできることをなんでもデジタルでやろうというのは無理でと言っていた。大きく伸ばすとネガの”粒子の影”がでてしまう、という何とも写真的なオモムキのあることも言っていた。どっちがいいという話ではないが、撮る方でもそうだが出力に関してもデジに向く絵柄と向かない絵柄というのがあるようだ。大きさに関してはネガだと小さいネガから伸ばしても粒子はそのまま粒子として大きくなるだけで、限界というものはないが、デジにはある大きさまでという、そのデータでの見られる限界がおのずとあるのは事実だ。

ラムダやインクジェットの発達と、広いミュージアムで写真を見る機会が増えたからというのもあるかもしれないが、大伸ばしの写真は今トレンドだ。海外の作家でもすごく多い。(以前は大伸ばしというのは相当特殊な表現方法で、高いプリント技術が必要だしインパクトがあった。)写真を見る方は大きいボーンという写真に慣れてくると、細密なプリントや微妙なトーンを目を凝らしてみて、感じる写真を見る力が退化するんじゃないかなって思った。たまたま近美の展示でかかっていたステューグリッツや瑛九のプリントを見たから特にそんなことを思ったのだが。
大きい写真というのは写真家にとって快感だけど、そればっかりというのもつまらないなぁ、と思った。

スタジアムの総立ちもいいがライブハウスで聞くアコースティックもいい。たまにはストリートミュージシャンも、ってとこか。

投稿者 Ken Kitano : 05:08

2006年09月24日

9月22日 フィルム

 慣れというのは恐ろしい。今日は久々にフィルムでの撮影だった。それもモノクロ。(デジタルで、という仕事が増えた。単純に納期とコストからの要請がほとんどだけど。)芝居の稽古場のスナップだった。デジに慣れるとフィルムの残り枚数を気にするクセが緩くなっている自分に焦った。頭の隅に予備のフィルムのことや、一本ずつ番記したり、増感とノーマルをパトロネに書き込んでしまうなど、フィルムの時には当たり前に体に染み付いていた所作がぎこちない。今もフィルム撮影はあるのだけれど、1カットずつ決めで撮るタイプの撮影が多く、何本もまわしながら撮る撮影でフィルムを使うのは久々だった。フィルムの場合はまず用意する本数の問題がある。打ち合わせで聞いていたカット数+アルファでだいたい用意するけれど、現場に来たらあれも撮って、これも撮っておいて、と大幅に増えるということがある。今回もカットが現場で増えてしまい、だんだんフィルムが足りなくなって来た。これが不安なのだ。(特にロケだったりすると買いに行く訳にもいかないし、第一フィルムを売っている店が減った。)しばらく使わないうちにいろんな感覚が体からは慣れているのを痛感しました。
 デジのカメラ(D2XとD70)とフィルムのF4ではオートフォーカスの性能が全然違って、 F4がほとんどマニュアル同然なのに戸惑いました。(特に今日は望遠で動きが速い撮影だったので。)前は普通に使っていたというのに、慣れてしまうとあっというまです。

投稿者 Ken Kitano : 07:24

2006年09月21日

9月19日  秋晴れ

久々の秋晴れ。6時に起きて都心へ。先日撮影したがゴーストが写り込んで ngになったスポットを再撮。ここは快晴でないとだめな場所。原因不明だったゴーストはメーカーにも聞いていろいろテストをした結果、フィルターホルダーの隙間からの光漏れと判明。ニコンやマミヤでは出なかったハレーションなので、カメラとの相性かと思って落胆していたが、対策がみつかって安心した。写真は常に具体的に現実をクリアーして前進するものだ。それにしてもこの間の撮影が失敗だったのを思い出すと夜も寝られない程悔しい・・。

午後PGIで高橋さんと額の打ち合わせ。その後竹橋の近代美術館で打ち合わせ。図録用のデータのスキャニングが懸案だったが、美術館のエプソンでスキャンできることが判明して安心。ただし作品をもう一点焼かなくてはならないことも判明する。
ああ、まだ続くのか・・、重ね焼き・・。

10月31日からの東京国立近代美術館「写真の現在 3」展には先日のPGI展のフルアナログプリントに数点作品を加えて展示します。お越し下さい。詳しくはニュースサイトをご覧下さい。

http://www.ourface.com/news/index.htm

投稿者 Ken Kitano : 10:21

9月19日 直島→岡山→東京

高松からの帰りに直島に寄った。直島には初めて行った。瀬戸内海の島を船で旅するというのは心弾むものがある。残念ながら台風が接近しているので、美術館は13時で閉館、フェリーも14時以降出るか分からないとのことで、地中美術館だけ行った。安藤の空間美に口を空けたまま、ただただ見とれて来た。

宇野から岡山へ。晩飯を食おうとしたら、繁華街なのにほとんど空いている飲食店がなかった。仕方なくやっと見つけた豚カツ屋さんでトンカツと熱燗。高速バスで帰って来た。高速バスは圧迫感があって、疲れます。

帰ったら朝日カメラが送られて来ていた。楠本亜紀さんが展覧会評で大きく取り上げて下さっていた。7年やって来て、やっと人相学や平均顔でない普通の批評を書いてもらえるようになりました。パチパチ。

投稿者 Ken Kitano : 10:13

9月16日  金丸座 「待ってました、 18代目!」

金比羅大芝居に行ってきた。中村勘三郎襲名披露です。
幸い台風に当たらず穏やかな秋晴れ。金丸座は金毘羅宮の山の中腹にあり、
参道を途中で左へそれて、坂道を登ると金丸座がある。

劇場前が道路でなく広場であるというのはよい。海外の古いオペラ座なんかもそうだが。
着飾った観客が大勢列をなしておりました。
広場で筋書きと缶ビールと手ぬぐいを購入する。
劇場の木戸の上には中村屋の大きな絵看板。秋空に礼砲がなると、芝居は祭なんだなあと思う。

で、中に入ると江戸時代そのまま。
自然光メインだから、暗いです。暗がりの中に華を見る。実に実に妖艶です。
幕が空き、ちろちろと花道を照らす蝋燭の明かりの向こうに、紋付の役者衆が居並ぶ様は正直、
夢のよう、でありました。

口上で「13年ぶりに金比羅の皆様にお目通りかないます」と勘三朗がひとしきり金丸座との思い出
を語るくだりがあり、讃岐の人間でないのに、聞いていてなんだか涙が出て来てしまった。
江戸時代そのままの芝居小屋のなかでの18代目の口上も決まっておりましたが、
讃岐の客たちの「待ってました!」という思いが劇場全体にも感じられて、温かい雰囲気でありました。
この全国公演は毎日移動の凄まじい公演日程。それでも昼夜違う演目をかけるというのは、
勘三朗さんの心意気でしょうか。

口上の後半で勘三朗さんが「皆様にお願いがございます」というので何かと思ったら
「口上の記念写真を舞台側から撮らせてください、座付きカメラマンが参ります」と言って
篠山紀信さんが上手から現れ舞台上から撮影。
大向こうから「シノヤマ〜!」と声がかかるカメラマンも篠山さんくらいでしょう。

金丸座の客席は狭いです。足が痛くなる。昔の人は小さかった。しかし、エアコンがついたのはありがい。
というわけで「義経千本桜」に思いっきり涙して、琴電に揺られ帰ってきました。
芝居ってのは、よいもんですね。
贅沢しちまいました。
高松の義母さん、義父さんありがとう。

投稿者 Ken Kitano : 10:03

2006年09月07日

9月6日  おれはお店の人か!

 昨日佐藤信太郎さんらと飲んだ。
 3時半に佐藤信太郎と新宿のニコンサロンで待ち合わせて、中東正之さんの写真展「サヨナラ軍艦アパート」を見た。コントラストの高い夜景をデジタルのレイヤーを駆使して、独特の柔らかいコントラストと、蛍光灯とタングステンのミックス光のミックス光が気持ちのいい色に出ていた。
 その後早稲田行きの都バスで高田馬場方面に移動。「早めに飲み始めて早めに帰ろうね」ということで開店と同時にもつやき「とんちゃん」へ。入ると大将はまだまかないの食事中。「ごめんね、すぐ終わるから〜」というのでビールを飲み始める。もうひとり来る予定の内野雅文は仕事が長引いてまだ千葉の東金にいると電話が入ったので、今日は来れないね、ということで二人で飲み始める。もつ焼きをたくさん食べて、ビールもたくさん飲んで(どっちもプリン体たっぷり!)、そろそろ帰ろうかなと思い始めた8時半頃、「今西船橋でこれから東西線乗ります!」と内野君から電話。「えーっ!」。結局9時過ぎに内野君合流、途中で袴田さんも合流して閉店の12時近くまで。後半はあんまり記憶がありません。いろんな人に電話で話したらしい・・。
 もうこれっきりにしたい。開店から閉店までいるなんて、おれはお店の人か!

投稿者 Ken Kitano : 07:07