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2009年04月28日

その3〜 アジアすごろく

台湾では先住民の文化を少しだけ訪ねようと南も旅した。短期間だったけどそれなりに収穫があった。12月のアミ族の祭りの時に再訪したいと思っている。ついでに離島の緑島にも行って、これがなかなか珍道中で楽しかった。
そのへんのことを帰ったらゆっくり書くつもりだったが、時は矢のように流れ、アジア双六第二弾で、いま北京に向かう途中、ソウルの空港でトランジット中である。Pcを持参したのでこのアジアすごろくは時間をみつけてまた書きます。

リニューアルしたサイトですが一部ウインドウズで写真が見られないようです。近々直しますのでしばしお待ちを。

投稿者 Ken Kitano : 17:58

台湾 その2

 ちょうどタロウナスギャラリーのお二人と台北のキュレーターとのトークがあったので邱さんと聞いてきた。英語だったらどうしようと思ったけど、台湾のキュレーターの男性は流暢な関西弁まじりの日本語だった。その上テレビの司会者のように巧みだった。建築デザイナーでもあるそうだ。で、キュレーターからは奈良、村上両氏をはじめ日本のアートがアイドル的(偶像)、アイコン的な流れがあるのはなぜか?それとアジアのアートと西洋のアートにつて。脱亜入欧の歴史を持つ日本のアートは西洋美術史をどう意識してきたか、という問題提起が最初にあった。芸術は西洋で発明されたものだから、西洋の流儀にのっていかざるをえない。対して日本からは、新しい世代のアーティストはこれまでとは別な考えを持ち始めている、という発言にとどまった。アイコンと西洋文化については、僕も延々とアイコンを作り続けている作家として、時々考える。端的にいうと、被支配側から支配者側へ、あるいは周辺から中央へ、アジアから西欧へなど、さまざま形が当てはまるけれど、人類にの歴史とともに連綿と起きてきた世界のグローバル化において、周辺から中心へと(そしてその逆も)無理なく流通可能な数少ないイメージの回路であるといえると思う。僕は世界に中心などないとうそぶいて、世界をローカルの集積(そして個の集積)としてとらえるべく、僕はourfaceでたくさんの他者とのノリシロになるような、共有イメージとしてのアイコンとその分母を広げるような表現をプロジェクトとして継続している。一方で日本には他者に「成る」コスプレやセルポートレートのすばらしいアートがある。
 僕がourfaceを始めるまで通っていたメキシコの美術にも、たくさんの人のイメージが連続に連なる、まるで肖像の雲海のようなディエゴリベラオロスコの壁画運動があった。彼らは様々な他者を連続に、時には未来の人や死者すらも生者の隣人として描く。一方で一生セルポートレートを描き続けたコスプレの画家のフリーダカーロがいる。彼らの表現はとりわけシュルレアリストたちによって積極的にヨーロッパに紹介されて西洋の美術にも影響を与えた。エスニックが西洋な美術に流通する例のひとつにこうしたアイコン的な要素がある。僕は最初に考えて始めた訳ではないのだけれど、やっていて思う。

以前ニコンサロンで加藤典洋さんの講演を聞いた。能のべしみ面とキティーちゃんの話がとても面白かった。能には怒りの面が2つある。ひとつは口を開け怒りを爆発している般若。もうひとつは口をあけず怒りを内にこめているべしみ面。(どちらも相当怖い顔である。)このべしみは古事記で侵略し国譲りをせまる側がイエスともノーとも言わぬ(言えない)で黙る側をなまこに例えて、口を切り開いて返事をさせるくだり。イエスともノーとも言えない、グローバル化に取り込まれる側の顔をべしみの面として、口のないキティーちゃんのアイコンが世界に流通するのこととの相似へと飛躍する話がとても面白かった。

グローバル化のなかで支配する側と支配される側、その双方から流通可能なアイコンのイメージは時代を超えて有効な数少ない回路のひとつなのではないか、と思う。

アジアと西洋などという構図にするまでもない。
ただ今回も台湾で邱さんの友人の作家と会って思ったのだけど、台湾のローカルなテーマの作品を日本人の自分や西洋や他の国の人が見て、「自分のこととして」見ることができるためには、シンプルで普遍的な回路が必要だ。あるいは超えて伝わる言説を生み出し続ける力が作品になければ超えられないのだろうな、と改めて思う。

長く書いてしまったけど本当は台湾の北と南の離島を旅して、肖像をとることと風景を撮ることのベクトルの違いについて思ったことをまとめたかったのだが、またにする。

投稿者 Ken Kitano : 17:51

2009年04月23日

our face project in Taiwan その1

4月16日成田から台北へ。
往復1万4000円。新幹線で大阪に行く片道の値段なんて、手品みたいだな値段のチケットだ。。新幹線と違って当たり前だけどご飯と飲み物も出た。台湾で最初の写真専門のコマーシャルギャラリーを開いた邱さんとその友人の松井さんも一緒のフライト。

4月18日、台北のコスプレの人たちの撮影。
朝、ビール工場跡地の芸術特区へ。かなり広い。ここは以前台北アートフェアの会場にも使った場所だそうだ。(ただしエアコンなし)。台湾はこうしたオルタナティブスペースが多く、各地の戦時中の施設や鉄道駅跡を利用して至る所にあるそうだ。
会場は若い人(高校生がメイン)たちがその敷地をぐるりと囲む長い列。全長4〜500mくらい。3000人か5000人はいるのではないか。メインのイベントはコミケであった。来週はこの10倍ほどのイベントがあるそうだ。日本発のアニメ、コミック文化が海外でこうして根付いて発展している。昨日台北の誠品堂書店でコスプレの専門誌を探したがまだ日本の雑誌しかなかった。
列にはコスプレの人も少ないがちらほら。こうしたイベントに僕はこのプロジェクトのおかげで日本で多少慣れている。感じでは時間が経つにつれ徐々に着替えやメイクをしててふえるのではないか。若い女性たちの群衆に混ざって、僕と邱さんの40代おっさん2人が歩き回って声をかける。かなり間抜けでブザマ。恥ずかしいことこの上ないけれどすぐに慣れてしまう。だってこのシリーズの撮影はいつもそうだから。すぐにourfaceのノリになってきて撮影温度があがってくる。邱さんはコスプレの子を見るのが初めてのようで「なんでこんな格好するのかぜんぜんわからないよ」と言っていたが、結構ノッていた。
撮影をお願いするときに英語で話しかけたら「ニホンゴでだいじょうぶです」という人が何人もいた。有名なハーリーズーだ。(主にテレビドラマを中心にした日本文化好きの若者で台湾の社会現象とも言われた)。白い軍服を着たイベントのスタッフの女性は大学の日本語学科を出たそうで、今日は「ヘタリヤ」のイベントだからそのコスプレ(軍服とお手伝いさんのような服)が多いのだと親切に教えてくれた。ゴスやロリ系がいないのはそのため。こうした会話にある程度ついていける自分が恐ろしい。台北の街中でもみかけたが、中華系美人というのか、足の細いスラリとした長身の美人が多かった。

午後になるとメイクの終わった人がだんだん増えてきてあちこちで撮影会になる。こうなるとこっちもやりやすい。全部で30人くらいとれたか。コスプレは二次元の世界を三次元化し、それを再び写真に撮って2次元化するのだそうだ。だからキャラに「成る」だけでなく、写真を撮る。若い女の子はコンパクトではなく一眼レフのカメラで撮っていた。明るい雰囲気のコスプレだった。

午後は台北のギャラリーめぐり。たまたま日本の作家の展覧会が多かった。邱さんのところは港千尋さん、ほかは、画廊の名前を忘れたがひとつはタロウナスギャラリーの若手のペイントのグループ展、SOKAギャラリーはミヅマアートギャラリーの作家のグループ展。何となくアジアで受け入れられる日本美術の流れを見られたような気がする。
全体に台湾の現代美術はペイント主体のようだ。写真、ビデオアート、立体、ミクスメディア、版画は少ない。写真や版画がそれぞれ独自に段階を踏んで発展してきたのではなくて、経済が好調になり現代美術としてアート市場が急速に発展したためだ。後で台北アートフェアの事務局の人と話したのだけど、台湾で売れるのはやはり絵画、写真やビデオは難しいのだそうだ。本当はエディションがあって価格も安い写真と版画がコレクションをはじめるのには一番いいと思うのだが。onedayのロケハンもする。夜は24時間営業の飲茶屋で食事。

台北の印象は経済がいいので活気がるし、若い人の表情が明るい。

つづく。

投稿者 Ken Kitano : 10:41

2009年04月09日

4月8日 サイトリニューアル!

ウェブサイトをリニューアルしました!! 念願のリニューアルです。7年か8年前に林君の作ってくれた初代サイトをもとに、アイセンシアの本尾久子さんにリニュアーアルをお願いしました。
新しいサイトを開けない方は「ページを再度読み込み」をするなど、pcに残っているurlを一度消して再度アクセスしてください。

僕はモニターで写真をみるのはスライドショーが一番しっくりくるので、作品はスライドショー形式にしました。新作も一部見ていただけるようにしました。遅ればせながら、英文サイトもまだ一部ですが作りました。

ポートレートのour faceとランドスケープのone day。僕の大切な2つの目です。目下第一ステージのアジアシリーズを制作中。今年は頻繁に東南アジアで撮影して発表する予定です。撮影も発表もすごろくのように各地でしていきます。このサイトもそれに活かしていきたいと思ってます。

今年は7月にMEMで新作one dayの個展をします。秋には90年代の作品をまとめて発表したいと思っています。
その他まだ確定していませんが、発表の機会ができそうです。随時Informationにアップしていきます。

投稿者 Ken Kitano : 00:51

2009年04月04日

4月4日 art fair Tokyo 2009

先週は大阪、岡山、高松、広島に行ってきた。大阪ではギャラリーで7月の個展の打ち合わせ。
岡山と広島でonedayの撮影。高松は妻の実家に。久々に讃岐うどんを堪能。帰りは高速の休日割引で帰ってきた。
ぽかぽか陽気を期待していったのだけど瀬戸内は寒かった。あんまり寒かったので広島では撮影の後すかさず銭湯に直行した。

帰って現像したら写真の上がりは8戦して結果は1勝6敗1分け。原因不明の大ハレーションが多発。地方まで行ってこの成果。へこむ。one dayは基本的に写真がどうのというより写っているかどうかの世界。

2日から有楽町の東京国際フォーラムでアートフェア東京が始まった。
初日は関係者、プレスなどの招待日で夕方から僕も行ってみた。夕方シャンパンが出るパリフォトの雰囲気とは違うけど、なかなか活気があった。不景気だけど作品も多少動いているようで安心した。何人かの方が川崎の展示や雑誌で僕の作品を見た方がブースにこられてお話した。そうゆうのも東京のフェアならでは。会期は明日日曜の夕方5時まで。明日は午後にまた行くつもり。ずっとではないですがブースにもちょくちょく顔を出します。
もしフェアにいらしたらぜひF07番のMEMへお越し下さい。
ourfaceのラージサイズも1点持ってきています。

http://www.artfairtokyo.com/
MEM
http://www.mem-inc.jp/

投稿者 Ken Kitano : 11:01