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2011年01月27日

岡本太郎現代芸術賞特別賞

第14回岡本太郎現代芸術賞特別賞を頂くことになりました。

今回の展示は中国で制作ラージサイズプリント3点を含むour faceインスタレーション。
昨年中国滞在以降ずっと考えていた、
存在を重層的に捉えることの必然、
存在を等価に現すこと
それは対称性をともなっていなければならない、
「切断物」としての印画と
「接続物」としてのデジタルデータ
などなど・・・。

テキストでなく視覚で現す必用を強く感じて、
パリ以降取り組んできました。
最後に僕にとって初めての立体作品へたどり着きました。
自信作です。ぜひ見てください。
川崎市岡本太郎美術館2月5日〜4月3日
http://www.taromuseum.jp/exhibition/current.html

太郎賞のことが一段落して休む間もなく横浜フォトフェスのグループ展のために横浜でone dayを撮りおろし。
同時期にパリでの個展も急遽決まり、せっかくだからパリで撮った作品を大急ぎでプリントした。
いや、いましている。
福島辰夫さんの評論集も、町口覚さん、本尾久子さんが加わり作業がぐいぐい加速してきた。
まだ1月だというのに、3ヶ月くらい今年が過ぎた様な気がする。ありがたいです。

2年くらい前からずっとこの調子でチャレンジと行動を写真でしてきた。
うまくいかないことや実らないことも多く、落ち込むことも度々だが、
それでも毎日跳ねるように、実際駆け足でいる自分に気づく。
100年、200年先の人に必用な仕事、
と勝手に使命感を感じてキャパの3割増の仕事をいつもかかえている。

写真の可能性を100%信じているからで、
写真は、アートは、世界に必用だといつも思っている。今こそ。

そんな僕を家族や周りは笑いながらつきあってくれている。
以前と違うのは興味を持ってくれる人が少しだけいること。
同じことをしているのだが10年くらい空白があったような気がする。
金はぜんぜんないんだけど。
幸せだと思う。

投稿者 Ken Kitano : 10:07

2011年01月17日

「第14回岡本太郎現代芸術賞」展搬入@岡本太郎美術館

土日は太郎賞展の設営。
年末年始はこの展示のための制作で息つく間もなかった。
すみません、(喪中でもあったのですが、)頂いた賀状にまだお返事もしてません。

今回、北京で制作したour faceラージサイズ3点と、写真を使った、初めての立体作品を展示する。
この賞は公募展で、今年は過去最多の819組の応募から一次選考で選ばれた27組がグループ展を行う。その展示で二次審査し、太朗賞以下各賞が決まる。応募した理由は、数年前に見た同賞の展示が面白かったこと、北京制作の大きい作品を日本で早く見て頂きたかったことに加え、中国以降考えた「存在の集積化」や「切断と接続」といったことを、これまでと違う形で作品化しなければならないと強く感じたことが大きい。存在について〈切断と集積〉の双方からその可能性を考えることは、写真の可能性を考えることに繋がると思うのだ。

今回、7層のガラス板に三次元に等間隔に配した約1000枚の個人の肖像印画と、最新のour face全集積(2011年1月15日現在 4435人)を液晶で配した。立体インスタレーションである。ここで重要なのは「等価」と「対称性」である。人の存在は世界に「等価」に存在している。そして個々の存在は「対称性」を持っている。

上からガラスを覗き込むと、レイヤー(重なり)の中に僕自身もいるし、亡くなった友人の内野雅文や井上二郎さんの写真もある。広い意味でこの立体作品は、〈自画像であり墓標〉である。

制作もだったが、展示もスリリングで楽しかった。
作業中の光景しか見ていないから,実際の完成した作品はまだ分からないけれど、どうも今年は大規模、溢れる様に大量のものや仕掛けを使った、大掛かり、大人数によるアートワークが多いようだった。数人から10数人がかりで、中にはトラック何台分も搬入する程、大規模なインスタレーション。そこだけ見ると何となく中国や韓国に近づいているという風にも思えた。物質感、手の込んだ大勢の手作業感がまして、デジタルワークは皆無だったように思う。

インパクトを備えた「つかみ」にウエイトをおいた大掛かりなものが多いよう。選考は一発勝負なので飛び道具があるほうが有利かな・・。僕の写真はインパクトがないこともないけれど、じわじわいくタイプ・・。
いずれにしろ、近日中に各賞が決まるようだ。

ずっと表現したかったことを初めて使う素材と方法で形に出来て楽しかった。それに中国のプリントは(ぎりぎりで到着!)神戸の天才フレームマン一風堂さんで、補修、貼り直しして、見違える程に生まれ変わった。これが気持ちいい。
インスタレーションと空間構成は普段訓練していないので、反省点が多い。特に照明。透明な立体の照明に不向きな空間であったこと。事前のシミュレーションが足りなかった。また液晶が設営してすぐに壊れた。急遽ソニーの高いものを買って交換した。肝心な素材は高くてもいいものを使うべし。

気持ちを切り替えて、明日から横浜フォトフェスのためのone dayの撮影と福島辰夫先生の本に取りかかる。どちらも時間との闘い。幸い本は町口覚さん、本尾久子さんがテキストを読んで興味を持ってくださった。またまたお二人と挑戦的でハイクオリティーな本にしたい。

今年もハイテンション、ハイクオリティー、ハイスピードで走ります。

投稿者 Ken Kitano : 17:00