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2012年02月23日

2月22日 岡本太郎現代芸術賞展

川崎市岡本太郎美術館で岡本太郎現代芸術賞展見て来た。
昨年僕も出展して賞も頂いたので、どうしても昨年と比べてという見方になる。

震災と原発に関する要素を感じる作品が多かった。
震災が起きたのは昨年のこの展覧会会期中だった。すぐに臨時休館となり、作家は展示の点検に駆けつけた。電車が止まっていたので、僕は自転車で多摩川沿いを登戸まで走った。だから、いまでも多摩川沿いを車で通ると、被災地の惨状を思いながら走った気持ち、まるで時間が止まったようなあの時の青い空を思い出す。僕は板ガラスを積み重ねた立体インスタレーションを展示していて、地震の時は完全に割れたと思っていた。(実際作品が壊れた作家もいた。)幸い学芸の片岡さんの指示で、念入りに接着しておいたので、作品に被害はなかった。(作家のみなさん、学芸員の指示には従いましょう。)一年前といま、震災前と震災後の隔たりをまず感じた。

ずうっと見ていられる作品が多かった。
今年の太郎賞「感性ネジ」は紙、ガムテープ、木の素材で直径2m高さ5,5mの塔。塔の周囲を螺旋に生き物や楽器や原発や、さまざまな物で埋め尽くされている。ひき込まれ、圧倒された。〈ダンテ「神曲」千葉和成 現代解釈集〉は福島原発事故とその後の政治を含む壮大な絵巻とオブジェ。3月以降の世界に対してこれほど壮大で真摯な取り組みを成したことに脱帽。(ちなみに太郎賞の応募は9月だ)。作者は1967年生まれ。年齢を経た方が、つみ重ねて来たものの上に、いまの現実への反応が加わった作品がいくつかありいいなと思った。(昨年は1968年生まれの僕が最年長でした。)瞬発力だけでなく、しっかりした丁寧な作品。そして何より本質的で生死をみつめ現実に踏み出している作品に励まされる。(自分はいま踏み出せてないなぁ。)メガネ「Energy of dance」、坂間真実「欲べる(たべる)、吐べる(たべる)」もよかった。
いたこの口寄せで「ジャクソン・ポロックの新作をつくる」太田佑司のいたこの口調がいまも耳に残っている。日本語で「名前はジャクソンポロックだ」。

帰って福島評論集3巻「破綻と彷徨」の写真掲載の件で連絡や作業。
中山岩太と安井仲治の図版をお借りする兵庫県立美術館の方々に大変にお世話になっている。30年前の文章を再掲載するのに、その間の研究者や作家のご遺族の取り組みとも向き合う事となった。作品が世代を越えて人とであって言説が生まれてゆくことの重み。安井作品は戦災で多くを焼失し、中山作品は阪神震災で中山邸被災を経て後の人々の手で現在に至っている。たくさんの方のご協力のおかげで、ようやく3巻のフィニッシュが見えて来た。

早く3巻を出して、今年は自分の写真集といくつかの海外のプロジェクトに切り替えたい。
形になるかわからないような、まっさらなチャレンジに身を置きたい。

投稿者 Ken Kitano : 08:34