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2005年08月04日

8月4日 ロボッツ

 月刊「実話時代」8月号に『our face』の書評が出ていた。とってもいい書評なのだが、この雑誌、ほとんど全部ヤクザの親分の記事。一体どうゆうひとが読むんだろうか?あと、7日(日曜)のサンケイ新聞にインタビュー記事が載るそうです。
 昨夜、編集者の笹目さんと北千住のキャバレーハリウッドで「ペーソス」のライブを見てきた。キャバレーって初めて行ったけど、実に濃密に「昭和」な感じだった。その前に行った居酒屋「大橋」はさすがに名店といわれるだけあって、実によかった。長細いコの字カウンターの居心地の良さ。なんといってもおやじさんの客あしらいが最高だった。下町の居酒屋でおやじさんが”笑顔”。珍しい。
 今日は午後から竹橋の国立近代美術館へ。訳あって、この秋に予定されているドイツ現代写真展とアウグストザンダー写真展の資料を見せていただく。不勉強なことにザンダーの仕事は今まできちんとみたことがなかった。生半可な知識では単に標本的な仕事の印象があったが、実際の写真はまったく違った。生前彼が描いた通りに昨年アメリカで出版された7冊組の写真集を見て圧倒された。みずみずしく、奥行きがあって、可笑しみをも湛えたその豊穰な世界。まさにそこに「世界がある」という質と量。何よりその強靱さに圧倒された。農民、都市の中産階級、芸術家から漂白民、「最後の人々」と題された7巻に収められた盲人の人や障害を持った人々、そして死者に到るまで、どれもに優劣のない眼差し。一枚の写真のインパクトや一冊の本で完結するいわゆる「作家性」で見られる枠の仕事ではないよな。写真によって膨大な「体系」を作り上げることで、実際の人間が不遜にも類型化されたり、立場を追いやられる時代(ナチの台頭なども含め)に、それと向き合おうとした壮大な写真家の仕事。それを受け止め理解する人がいることと、長い時を経て写真集に編纂する人々がいということ自体に敬意を感じてしまう。
 というザンダーの仕事はともかくとして、実はザンダー展の時期に発行される美術館の会報に原稿を依頼されたのだ。実際にはザンダーのことを書くのではなく、『our face』のことを書けばいいのだが。写真を見てどこからどう書いていいものやら・・。接点も着地点もさっぱり見えなくなってしまった。どうしよう・・。
 夕方、府中で家族と待ちあわせて映画「ロボッツ」を観る。よく出来ているけど、いかにもアメリカの子供向け映画という感じで凡庸なストーリーだった。娘は楽しんでいたみたい。

投稿者 Ken Kitano : 2005年08月04日 23:32